酒田市民会館 希望ホール KIBOU HALL

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活動レポート

地域ワンコインコンサート vol.8~礒 絵里子(ヴァイオリン)

2023年11月11日(土)
ひらたタウンセンター シアターOZ

一流の演奏を地域の慣れ親しんだ施設で、気軽に楽しむことができる人気シリーズ、地域ワンコインコンサート。2023年度ラストを飾るのは、ヴァイオリニストの礒絵里子さん。伴奏にはピアニストの田村緑さんを迎えました。

定刻になり、温かな拍手の中、色鮮やかな衣装に身を包んだお二人が登場しました。

最初に演奏したのは、エルガーの「愛の挨拶」。エルガーが婚約を記念して相手の女性に贈った曲といわれており、当時の幸せな気持ちを感じ取ることができます。礒さんの奏でる伸びやかで艶やかな音色が会場の隅々までに広がりました。

「愛の挨拶」と2曲目の「ひばり」、ラストの「ダンス・マカブル」は、小学校のクラスコンサートでも演奏された楽曲です。最初のMCでは、礒さんが楽曲、楽器について軽く紹介しました。ヴァイオリンの音の出る仕組みについての解説に、観客からは感心の声があがります。

ディニクの「ひばり」は1曲目とは異なり、アップテンポかつ軽快で、小鳥が自由に飛び回るような旋律が印象的です。さえずりを模した場面では、ヴァイオリンの技巧が遺憾なく発揮されます。

続いては、12月のリサイタルでも演奏予定の、クライスラー「愛の喜び」です。クライスラーが結婚当時に作曲したといわれ、題名通り喜びを表す晴れやかな作品です。礒さんによる甘美で優雅な演奏が、観客を安らぎの世界へ誘います。

次は、田村さんによるピアノソロ「シェナンドー」。時は1800年代前半のアメリカ、当時制定された法律により先住民たちは移動を強いられ、故郷を離れなければなりませんでした。今回演奏するのは、郷愁を歌い継いできた民謡を、ジャズピアニストのキース・ジャレットが編曲したものです。美しくも切なく、叶わぬ想いに咽び泣くようなピアノに引き込まれます。

ここからは、ピアソラの楽曲2曲続けての演奏です。

まずは「オブリビオン」。とある映画のために書き下ろされたというこの楽曲。記憶がたゆたう様を表現するピアノに、ヴァイオリンの官能的で物悲しい旋律が重なります。

続けて「リベルタンゴ」。ピアソラの代表曲ともいえる楽曲を、お二人が熱量たっぷりに演奏しました。礒さんの鋭いヴァイオリンの音色が、聴くものの心を貫きます。

そして、プログラムの最後を飾るのは、サン=サーンスの「ダンス・マカブル」。もともとオーケストラのために書かれた楽曲をお二人で演奏します。

真夜中の骸骨たちによる熱狂的な踊りが描かれており、禍々しさを醸し出しつつ、ダイナミックな演奏で観客を巻き込んでいきます。そして急に静かになり、礒さんの奏でる「雄鶏」が、朝の訪れと踊りの終わりを告げます。

鳴りやまない拍手に応じてのアンコールは、モンティの「チャルダッシュ」。

「短い時間でしたが、とても楽しく演奏させていただきました。ありがとうございました」

と礒さん。お二人の息の合った軽やかな演奏で、コンサートを締めくくりました。

礒さんと田村さんは、12月17日(日)希望ホールにて開催の「礒絵里子 ヴァイオリン・リサイタル」へ出演されます。お二人の演奏を大きなホールでぜひご堪能ください。

▲コンサート後に会場前でサイン会も行われました

お客様の声

「中学校で吹奏楽部に入っているのですが、これからの大会やコンテストの勉強になりました。ありがとうございました。これからも頑張って下さい」(10代)

「アナリーゼワークショップと同様に親子共々楽しませていただきました。ありがとうございました」(40代)

「演奏者との距離が近くて空気の震えも伝わる気がしました。トークも楽器や曲についてわかりやすく紹介していただきました」(60代)

◇プログラム

・E.エルガー:愛のあいさつ

・G.ディニク:ひばり

・F.クライスラー:愛の喜び

・アメリカ民謡(キース・ジャレット編):シェナンドー(ピアノソロ)

・A.ピアソラ:オブリビオン

・A.ピアソラ:リベルタンゴ

・サン=サーンス:ダンス・マカブル

◇アンコール

・モンティ:チャルダッシュ

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