酒田市民会館 希望ホール KIBOU HALL

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活動レポート

ピアノデュオ ドゥオール アナリーゼワークショップ

2023年6月23日

希望ホール 大ホール

希望ホールで行われるコンサートのプログラムについて、アーティスト本人が曲の魅力や聴きどころについてお話しする「アナリーゼワークショップ」。今回は9月2日(土)に予定されている「愛と希望 2台ピアノと光のコンサート」のプログラムについて、ドゥオールのお2人にお話しいただきました。

ソロから2台へ

定刻となり、白水さんが上手よりひとりステージに登場。ドビュッシー「月の光」のささやくような冒頭部分を奏で始めると、続いて藤井さんが下手から登場し、もう1台のピアノへ。2人の演奏が重なり、深みが増した音色が希望ホール大ホールのステージに響きます。来場者へのご挨拶代わりの1曲です。

演奏後、まずは自己紹介。ピアノ・デュオで活動する理由について「ピアノはメロディと伴奏で1つの音楽として成立しますが、僕たちは残り2手で空気・香り・気持ち・感情などを表現し皆さんにお届けしたいなと思い、連弾や2台ピアノで演奏しています」と藤井さん。

なぜ作曲家たちは、ピアノ・デュオを求めるのか

続いてはショパンの「幻想即興曲」。まずは白水さんがソロで弾き、次に藤井さんが続きます。藤井さんは、白水さんの3度下を弾いてハーモニーを作っているそうです。

この曲のように、編曲者が2人並んでいる楽曲は『おそらく編曲者の2人が、ソロの曲を2人で弾きたかった、誰かと感動を共有したかった』というように理解できるのではないかなと思います」と藤井さん。

「子犬のワルツ」では、2台ピアノで弾く際の音のバランスについて、ドビュッシー「月の光」では、2台ピアノの際に「お互いどこを見て演奏しているか」を説明。白水さんは息を合わせて弾くには連弾同様に「息遣いも大事だけれど『見る』ことが大切。彼の目は情報量が多いので、打鍵と連動している肩を見るようにしています」と話します。

ドゥオールは今年で結成19年目。白水さんは「初めのころは『二人とも見つめ合って素敵』なんて言われることもありましたが、実は必死に肩を見ていたなんてこともあったんです。今は空気を感じられるようになったので、必死に相手を見るということは薄れてきました」と、積み重ねた時間による空気感を話してくださいました。

連弾のバランスの作り方

2台ピアノの次は「連弾」についてお話が移ります。2台ピアノ同様、連弾もやはり誰かと一緒に弾く、共有したいという気持ちから作られた曲が多いそうです。

連弾からオーケストラ作品になった「ハンガリー舞曲1番」では連弾でのバランスのとり方、グリーグの「朝」では2人並んだ時の姿勢や距離感について、演奏をしながら検証です。

「連弾では主にセコンドがペダルを踏み変えます。地味に見えるかもしれませんが実は音楽を動かしているのはセコンドなんです」と、セコンドの重要性を藤井さんがお話ししてくださいました。

続いては、シューベルト「ファンタジー」。お2人が初めて連弾した曲でもあるそうです。

「当時は2人ともソロをやっていたので音色が違っていたんです」と白水さん。どうやって音色を一つにしたのでしょうか。「指や手の向きなどを変えることでタッチの位置を揃えるなど、試行錯誤していたら19年経ちました」とユーモアを交えながら解説してくれました。

バーンスタイン‼

次はまた2台ピアノに戻り、ミュージカルや映画にもなった「ウエスト・サイド・ストーリー」を題材に、ピアノから光景を想像することについて。

まずは「プロローグ」。始まりや曲中にちりばめられた「ソドー♯ファ」の音は、「増四度音程」と言い、不安を感じる「悪魔の音程」と言われるそうです。物語がどう進んでいくのかという不安を掻き立てられます。

「サムウェア」では、主人公2人がどこかへ行って幸せに暮らそうという希望と、それが実らないこともわかっている悲痛な曲。「マンボー」では、藤井さんがホイッスルを手にします。楽しく、パワフルな音楽で、バーンスタインこだわりの場面です。「本番でぜひ『マンボー!!』と叫んでください!」と皆で練習しました。

「フィナーレ(i have a love)」は、恋人が亡くなった女性主人公の悲しみと、悲しみだけではなく力強く生きていくという美しいメロディー。映画や舞台の場面を想像するように、目を閉じながら聴き入る参加者もいらっしゃいました。

気づけば時刻は20時。最後の曲は、参加者の方が心地よく家路についていただきたいという2人からの1曲、シューマンの「夕べの歌」。ゆったりと穏やかな調べで、参加者の皆さんをお見送りしました。

終演後のアンケートでは「連弾したくなりました」「2台ピアノと連弾の演奏と楽しい解説にとても素晴らしい時間を過ごせました」「二人の弾き方を真似してみたい。飽きないほどずっと聴いていられました」など、多くの感想が寄せられました。

9月2日、ドゥオールの2人や作曲家たちの愛に溢れた音色を堪能しに、希望ホールへお越しください。

ピアノデュオ ドゥオール コンサート

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