活動レポート
ピアノデュオ ドゥオール クラスコンサート
2023年6月23日
浜中小学校
ピアノ・デュオ ドゥオールの藤井隆史さんと白水芳枝さんが酒田市内の小学校6校を訪問し、クラスコンサートを行いました。今回は浜中小学校での様子をレポートします。
児童からの盛大な拍手で迎えられたお2人。まずは自己紹介とともにピアノデュオについてのお話です。「ピアノは1人で弾けるのになぜ2人で弾いていると思う?」という質問から始まります。ピアノ・デュオは高音担当を「プリモ」、低音担当を「セコンド」といい「高音担当の右手はメロディ、低音担当の左手はハーモニーを動かす役割があります」と話す藤井さん。「そして残りの2本の手は『自然・香り・気持ち』などを表現していて、4本の手で表現することが楽しくてピアノデュオをやっています」とお2人は話しました。
藤井さん「それでは次の曲で、皆さんの目の前にどんな景色が広がるかイメージしてみてください」
白水さん「何時くらいかな?何色かな?どんな季節かな?」
想像を促した後に演奏されたのは、グリーグ作曲の「朝」。清々しいピアノの旋律に、児童たちは目を閉じたり、2人の手元に注目したりと思い思いに聴き入り、イメージを膨らませます。曲が終わり「どんな感じがした?」という問いかけに、児童からは「優しい風が吹いている感じ」「朝、目覚めた感じ」と次々に感想が発表されました。
拍を感じてみよう
続いては、音楽の「拍子」について。3拍子の曲に合わせ体を動かしながら、2班に分かれて「拍」をとってみます。1拍目は強く、2・3拍目は弱く。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」から、身体の大きな象が優雅な3拍子のワルツを躍る様子をユーモラスに描いた「象」を2人が奏で、児童たちが体いっぱいに使って「拍」を感じました。
次はドイツの作曲家ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」です。先ほどの優雅な3拍子とは変わり、2拍子の緩急に富んだリズムに「楽しい」「元気が出る」「逃げてる!」「追いかけっこしてる感じ!」と児童の想像力も膨らみます。
好きなところで音楽を聴いてみよう
「今度は自分の好きな場所で聴いてみましょう。自分のベストポジションを見つけてください」と、バッハの「アリア」の美しい音色が奏でられ、児童は鑑賞スポットを探しに音楽室内を移動します。ピアノの下に潜り込んだり、屋根の裏に回り込んだり、教室の隅に行ってみたり。ピアノの下で聴いていた児童は「音が大きかった!」、屋根の後ろにいた児童は「悲しい感じがした」、音楽室の端で聞いていた児童は「遠く感じたけどよく聞こえた」と感想を話します。なぜ好きな場所に移動してもらったのでしょうか。藤井さんが鍵盤をポーンと鳴らすと、その音は強弱を繰り返しながらだんだんと消えていきます。「波になって音は伝わり、聴く場所によって波の感じ方が違う」ということを伝える一コマでした。
言葉と音楽
続いての曲は、誰もが一度は耳にしたことがある、チャイコフスキー作曲「白鳥の湖」。白水さんの朗読から始まります。場面は夜の湖。白鳥に姿を変えられたオデットを、王子は永遠の愛の力で人間に戻すことができるのでしょうか—。美しくも物悲しい旋律から、次第にダイナミックになっていく演奏に児童たちは聴き入っていました。「最初から鳴っていたこの音、何を表現していると思う?」という質問には「静けさ」「水の波紋」「羽ばたき」などの声が上がっていました。
「これは白鳥の羽の動きを表しています。この様に、作曲家が表現したい世界やタイトルが曲の中に表されています」と藤井さんは話しました。
最後は、再びサン=サーンスの「動物の謝肉祭」から「鳥かご」と「フィナーレ」を谷川俊太郎さんが同曲をモチーフに書かれた詩とともに。「鳥かご」ではユーモラスの中にピリリと風刺が効いた鳥の母親たちの会話、「フィナーレ」では「生命」という大きなテーマが描かれた詩を朗読し、演奏に入ります。生き生きと希望に満ち溢れる華やかな演奏に、演奏後には児童たちから大きな拍手が沸き起こりました。
後日、児童たちより「初めてピアノの連弾を聞きました」「息がぴったりですごかった」「藤井さんと白水さんみたいにピアノがうまくなりたい」「落ち着く音色で感動しました」と、感想が寄せられました。
【プログラム】
グリーグ 朝
サン=サーンス 動物の謝肉祭より象
ブラームス ハンガリー舞曲第5番
バッハ アリア
チャイコフスキー 白鳥の湖より情景
サン=サーンス 動物の謝肉祭より鳥かご、フィナーレ