酒田市民会館 希望ホール KIBOU HALL

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活動レポート

アナリーゼワークショップvol.6~新倉瞳&佐藤芳明~

希望ホール
2022年7月7日(木)

芸術家・地域ふれあい事業の一環として、希望ホールで行われるコンサートのプログラムについて、アーティスト自らその魅力や聴きどころについてお話する「アナリーゼワークショップ」。今年度第一回目となる今回は、チェリスト新倉瞳さん、アコーディオニスト佐藤芳明さんにより、9月17日(土)の「新倉瞳&佐藤芳明DUOリサイタル 古典、そして現代へ~弦と“蛇腹”の出会いが織り成す、郷愁の調べ」で演奏されるプログラムについてお話していただきました。

大きな拍手とともに登場したお二人。サン=サーンス作曲『動物の謝肉祭 白鳥』で幕開けです。希望ホール大ホールのステージ上にゆったりとした優雅な旋律が響きます。
新倉さんはご挨拶のあと、
今日はリラックスした雰囲気で、9月のプログラムについて紐解きながら、分かりやすくお話を進めていきたいと思います。途中、聞きたいことなどありましたらお気軽に手を挙げていただければ
と話しました。
早速ですが何かありますか?プライベートなこと以外はお答えしますよ
という佐藤さんの言葉に会場から笑いがこぼれます。

続いてヘンデル作曲『パッサカリア』についてのお話です。8小節でできた一つのフレーズが、様々な形に変化して現れる変奏曲で、こちらは初めの部分だけを演奏します。新倉さん、佐藤さんが奏でた基本形のフレーズが、演奏中にどう変化して登場するのか、客席の皆さんは耳を澄ませて聴いていました。

続いてはバッハ作曲『ゴールドベルク変奏曲』です。これは、同じ旋律を輪唱のように奏でるカノンという形式をとる曲です。原曲は鍵盤1台を使い一人で演奏しますが、9月の公演ではチェロ、アコーディオン、ヴァイオリンの3つの楽器で演奏します。
お二人は、
それぞれ音色の違う楽器で演奏することで、様々なメロディーの重なりが見えやすくなります。3つの楽器でこそ表現できる演奏をお届けしますので、ぜひお楽しみください
と話しました。

続いては佐藤さん作曲「2つの楽器のための2つのカノン」です。佐藤さんは、大学時代に聴いたカノンに魅了され、いつか自分も作曲したいとずっと思い続けていたところ、新倉さんから作曲の依頼があり、「ぜひともカノンを」と思い作曲したのだそうです。

こちらも最初の部分のみ演奏しました。のびやかに旋律を奏でるチェロにアコーディオンが優しく寄り添います。会場からは拍手と共に思わずため息がこぼれました。

佐藤さんとお二人で活動されることが多い新倉さん。その理由について、次のようにお話しました。
佐藤さんご自身、バロック音楽の音楽にとてもご興味をお持ちでいらっしゃる。バロック音楽については私自身も高めたいと思うポイントだったこともあり、意気投合しました
また、私は東洋の伝承曲であるクレズマーに興味があります。クレズマーは、ユダヤの方が亡命していく中で、様々な国の影響を受けて音楽のスタイルが変わっていったものなのですが、佐藤さんご自身もブルガリアやインド、ウズペキスタンなどいろいろな国の音楽にご興味をもっていらっしゃり、お互い共鳴するところがあって一緒に活動するようになりました

続いては、バルトーク作曲の『ルーマニア民俗舞曲』です。
実際にその土地の人々が踊っている様子が映像で流れます。音楽は4拍子ですが、ダンスは1234、12、1234、12という変わったリズムで刻まれます。この舞曲は、ダンサーと演奏者がお互いに目を合わせながら音楽を作っていくものであるということで、今回は佐藤さんのアコーディオンと新倉さんのダンス(!)で披露していただきました。客席の手拍子とともに、新倉さんが客席の周りを踊りながら回ります。アコーディオンの演奏、新倉さんのダンス、そして客席の手拍子とが一体となり、会場はエキゾチックな雰囲気に包まれました。

ワークショップの最後に酒田滞在の思い出について語ってくださったお二人。
新倉さんは
食べ物担当としてお話しますね(笑)。酒田は本当に月系のラーメンがおいしかったです。その土地その土地にうかがって空気に触れ、長く滞在するとふるさとのように感じます。酒田という土地をとても楽しませていただきました
と話しました。
佐藤さんは、小学校でのクラスコンサートについて
子どもたちの目線はとても素直で、彼らの前に立つと、表面的な自分では無く奥まで見透かされているように感じました。とても勉強になりました
と話しました。

アンケートでは「9月の公演がとても待ちきれなくなった」、「演奏家の方がどういう気持ちで演奏されたかも理解できてよかったです」などの声が聞かれました。
9月には新倉さん、佐藤さん、そしてヴァイオリニストの原田陽さんをお迎えし、3人ならではの魅力的な音色が希望ホールを彩ることでしょう。

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