酒田市民会館 希望ホール KIBOU HALL

bg

活動レポート

髙橋和貴 松原小学校クラスコンサート

山形交響楽団ソロ・コンサートマスターである髙橋和貴さんと、山形交響楽団専務理事である西濱秀樹さんが、酒田市内の小学校を訪問し行ったクラスコンサート。2月の希望ホールでの公演に向けて、アーティストが一定期間市内に滞在し、地域との交流を通じてアートの魅力を届ける事業『アーティスト・イン・レジデンス』の一環として実施しました。一週間の滞在中、お二人は泉小学校、十坂小学校、南平田小学校、鳥海小学校、松原小学校を訪問。

児童の皆さんと教職員の皆さんが、ヴァイオリンの魅力や、その音色に浸った時間でした。

今回は松原小学校でのクラスコンサートの様子をレポートします。

拍手とともに、子どもたちの前に登場した髙橋和貴さんと西濱秀樹さん。

「山形交響楽団の演奏を聴いたことがある人!」という西濱さんからの問いに、多くの手が挙がります。

「スクールコンサートなどで、山形交響楽団の演奏を聴いたことがある人が多いと思いますが、山形交響楽団はいつもだいたい50人ぐらいで演奏をしています。

野球やサッカーにキャプテンがいるのと同じように、オーケストラには「コンサートマスター」といって、一番前に座るリーダー役の人がいます。山形交響楽団でそのコンサートマスターを務めるのが、髙橋和貴さんなんですよ!」
西濱さんのご紹介に続いて、髙橋さんが自己紹介をして、ヴァイオリンの構造を説明していきます。

間近で見るヴァイオリンという楽器に、児童たちは興味津々で、身を乗り出して見ています。
「ヴァイオリンには弦が必ず4本あって、低い方からソ、レ、ラ、ミの4つの音がします。正確にこの音が鳴るように、チューニングといって、音を聞きながら音程を調節していきます。

そして馬の尻尾でできた弓には、松の木の樹液であるマツヤニを弓の毛に塗って、ようやくヴァイオリンの音が出るようになります。

マツヤニを塗らないとしっかり音が出ないため、毎日必ず行う大切な作業なんです。」と髙橋さんがご自分のヴァイオリンを見せながらお話しました。

次は、西濱さんからヴァイオリンの歴史についてお話です。

「ストラディバリウス」というヴァイオリンは、ヴァイオリンの中でも最も優れていると言われる楽器ですが、その理由の一つとして使われている木が素晴らしいということが挙げられるそうです。

この楽器が作られたのはとても昔のことですが、未だにその楽器を超えるものが作られていないと言われるほどの楽器です。

大航海時代、ヨーロッパでは造船のために多くの木々が伐採されてしまいました。それまではヨーロッパはたくさんの森であふれ、ヨーロッパライオンというライオンも生息していたそうです。

しかし、その伐採のために森は消え、ストラディバリウスという名器に使われた木々もなくなってしまい、今ではもう、同じ木を使ったヴァイオリンを作ることはできなくなってしまったのでした。

児童たちはヴァイオリンの歴史から考える環境問題にふれ、真剣な表情でお話を聞いていました。

続いて、小さい子ども用のヴァイオリンを一人ずつ児童全員が体験していきます。

初めて触るヴァイオリンを、恐る恐る手にとる児童たち。

初めはぎこちなく触っていながらも、髙橋さんと西濱さんに優しく教えてもらいながら弓の角度を変えたり、弾く強さを変えたりすることで、徐々に音が響く箇所を見つけて、思い思いにヴァイオリンを奏でていきます。

終わった後に髙橋さん、西濱さんが感想を聞くと「髙橋さんの演奏を見て自分も弾けるんじゃないかと思ったけど、とても難しかった!」「音が出てうれしかった!」などの声が聞こえました。

そして髙橋さんによるヴァイオリンの演奏が始まります。『無伴奏パルティータ 第3番 ガボット』。「音楽の父」とも呼ばれるバッハの作曲です。

「ガボット」とは、踊りの一種。髙橋さんは、「何百年も前にヨーロッパの人たちがこの曲に合わせて踊ったことに思いを馳せたり、どんな踊りを踊っていたんだろう、ということを想像したりして、聴いてみてほしい」とお話します。

その言葉を受けて、子供たちは流れてくる優雅な音色にそれぞれに耳を傾けていました。

最後は質問コーナーです。クラスコンサートを聴いて、髙橋さんに聞いてみたいことがたくさんできた児童たちから、多く手が挙がりました。

「ヴァイオリンの曲でいちばん好きな曲は?」という質問が挙がると、「その日の気分によって違います。今日はバッハのガボットが一番好きだったので、みんなに聴いてもらいたいと思って演奏しました。」と答える髙橋さん。

また、「何歳からヴァイオリンを始めたのですか?」という質問には、「4歳のときです。

2歳の時にテレビで見てヴァイオリンをやりたいと言ったら、4歳の誕生日まだその気持ちがあったらヴァイオリンをプレゼントする、と両親に言われました。そして4歳の時、もう一度やりたいと伝えてヴァイオリンを買ってもらい、始めました。」とお答えいただき、児童たちからは「そんなに小さい時から!」「すごい!」との声が上がっていました。

次から次に出る質問に、笑顔で答えてくださった髙橋さんと西濱さん。

児童たちがすっかり髙橋さん、西濱さん、そしてヴァイオリンの魅力に夢中になった45分間でした。

error: